あらすじ
第一回
「井伊谷(いいのや)の少女」
のちに井伊直虎と名乗って戦国の世を生き抜くことになる少女・おとわは、井伊家当主の父・直盛と母・千賀のもと幸せな日々を過ごしていた。ある日、おとわに幼なじみの亀之丞との縁談話が舞い込む。当主の座を継ぐつもりだったおとわは最初戸惑うが、やがて当主の妻として井伊家を支えていこうと心に決める。そんな折、亀之丞の父・直満に謀反の疑いがかけられる。
第二回
「崖っぷちの姫」
今川の追手に命を狙われる亀之丞を逃がすため、おとわはある秘策を思いつく。おとわの命がけの策が功を奏し、亀之丞は無事信州へと落ち延びる。井伊直満が謀反の疑いで殺されたことにより、以前から直満と対立していた小野政直が今川家の目付として井伊家中の実権を握ろうとする。政直はさらに息子の鶴丸とおとわを夫婦(めおと)にし、井伊家の家督を継がせようと画策するが…
第三回
「おとわ危機一髪」
鶴丸と夫婦になることを拒み、出家をしようとしたおとわの捨て身の策は、主家である今川義元の怒りを買うことになる。義元は忠義の証として、おとわを人質に差し出すよう直盛に命じる。井伊家存続のため苦渋の選択を強いられる直盛に南渓和尚は、今川の怒りをしずめ、おとわの出家を認めさせて人質を免れることを約束し、おとわとともに駿府の今川館へ向かう。
第四回
「女子(おなご)にこそあれ次郎法師」
井伊家の本領安堵(あんど)の条件としておとわは正式に出家することになり、「次郎法師」という名を与えられる。「次郎」とは井伊家の家督を継ぐ男子の名であった。翌日から兄弟子である昊天と傑山による厳しい修行が始まる。一方、今川の目付となった小野政直は井伊家中における発言権をますます高めていた。そんなある日、政直の命を狙う北条の手の者が井伊谷にやってくる。
第五回
「亀之丞帰る」
天文23年(1554)春。成長した次郎法師は僧としての修行を積みながら、行方知れずの亀之丞の帰りを待つ日々を過ごしていた。駿府では今川義元が武田・北条との縁戚関係を背景にいっそう権勢をふるい、いよいよ三河平定へと乗り出そうとしていた。この今川家の威光を笠に井伊家中での実力をさらに強めた小野政直だったが、突然の病に倒れ、まもなく息を引き取る。
第六回
「初恋の別れ道」
井伊谷への帰還を果たした亀之丞は、元服して井伊直親と名を改める。直親は次郎法師を還俗させて、自分の妻に迎えたいと願い出るが、政次はまず今川家に直親の帰還を許してもらうことが先決だとしてこれに反対する。実は次郎法師の出家は、今川による井伊の本領安堵の条件になっていたのだ。それでも夫婦になることを諦めきれない直親は次郎法師にある提案を持ちかける。
第七回
「検地がやってきた」
直親としのの祝言が無事執り行われ、祝賀ムードの井伊谷。小野政次と新野左馬助の二人は駿府・今川館に出向き、改めて直親の帰還を認めてもらうよう願い出る。これに対して今川義元の出した交換条件は、井伊谷での大規模な「検地」の実施だった。井伊直平は自分の治める川名の隠し里に今川の検地の手が及ぶことを恐れ、怒りをあらわにする。直親は川名の隠し里を隠し通すことを直盛に進言する。
第八回
「赤ちゃんはまだか」
直親と夫婦になって4年、しのはいまだ懐妊の兆しがないことを気に病んでいた。その様子を見かねた次郎法師は、政次に子を授かるための妙薬を買い求めてくるよう願い出る。その頃駿府では、今川義元が家督を息子の氏真に譲り、尾張の織田攻めに向けて着々と準備を進めていた。直親はこの戦で初陣を飾りたいと直盛に参陣を申し出るが、直盛は、跡継ぎとして井伊谷に残って欲しいと説得する。
第九回
「桶狭間に死す」
今川義元に従い、尾張の織田攻めへと向かった直盛。父の無事を祈る次郎法師と妻・千賀の元に思わぬ悲報がとびこむ。桶狭間で今川軍が大敗し、直盛の首も討ち取られたというのだ。井伊谷に逃げ帰った負傷兵たちの手当てに次郎法師が奮闘する中、供をしていた奥山孫一郎から直盛の最期の様子が語られる。一方、松平元康は空になった古巣の岡崎城に入城し、ついに今川家からの独立を果たす。
第十回
「走れ竜宮小僧」
奥山朝利をもみ合いのすえ刺殺してしまった政次が次郎法師のもとを訪れる。次郎法師は手負いの政次を寺でかくまうことにする。父を討たれたしのは悲嘆にくれるが、小野家に嫁いでいた妹のなつの口から意外な事件の真相が語られていく。そんななか、しのと直親の間に待望の嫡男・虎松が誕生。一方、松平元康は今川家に反旗を翻すが、駿府に残された妻の瀬名は窮地に立たされてしまう。
第十一回
「さらば愛(いと)しき人よ」
瀬名を救おうと取りすがる次郎法師の元に、松平元康からの使者が到着する。桶狭間での大敗以降、衰退の一途をたどる今川家の跡を継いだ氏真と寿桂尼は、離反者の粛清に躍起になっていた。ある日次郎法師のもとに、元康からの御礼の品が届く。直親は今川家と手を切り、元康と手を組むことを決意する。そこには直親へ宛てた書状も同封されていた。ついに元康との密会を果たす直親だったが…
第十二回
「おんな城主直虎」
今川からの呼び出しに応じ、駿府へ向かった直親たち一行は、次郎法師の必死の祈りもむなしく、道中の掛川城下で今川勢に取り囲まれる。しのは、こんな事態を引き起こしたのは次郎法師だと責めたてる。今川から嫡男・虎松の命も差し出すようにと命じられた井伊家。新野左馬助は今川氏真に虎松の助命を願うため、駿府へ向かうが、引き換えに思いもよらぬことを仰せつかる。