あらすじ
第十三回
「城主はつらいよ」
井伊家の領主として名乗りを上げた井伊直虎。幼い虎松が元服するまでの間、後見として国を治めることを宣言するが、家臣たちは反発する。虎松の母・しのも直虎の勝手なふるまいを認めようとしない。ある日、領主が代替わりしたことを聞きつけた瀬戸村の百姓・甚兵衛が直虎のもとを訪れ、借金の棒引きを意味する「徳政令」の発布を求める。直虎は発布を約束するが…。
第十四回
「徳政令の行方」
直虎が徳政令の約束を破ったことに腹を立てた甚兵衛ら百姓たちは、蜂前(はちさき)神社の禰宜(ねぎ)を通して、今川に徳政令の発布を直訴する。直虎の政策に家臣たちが異を唱える中、政次は徳政令の発布を命じる今川の書状を読み上げるが、直虎は驚くべき策でこれをはねのける。徳政令を無効にされた甚兵衛たちは、禰宜の指示のもと銭主・瀬戸方久を連れ去り、今川の徳政令を受け入れるよう要求する。
第十五回
「おんな城主対おんな大名」
直虎が今川の下知に背いて徳政令をはねのけたことに怒った寿桂尼は、政次を呼びつけ、直虎に駿府へ申し開きにくるよう命じる。以前同じように駿府へ呼び出され、道中で惨殺された直親の記憶がよみがえる家臣一同。政次は直虎に虎松の後見を降りるよう勧めるが、直虎はそれを拒み駿府へ向かうことを決意する。途中、命を狙われた直虎だが、ある策により無事駿府に到着し寿桂尼と対峙する。
第十六回
「綿毛の案」
駿府から無事帰還した直虎。瀬戸方久は井伊家の財政を立て直すための新たな産業として「木綿」作りを持ちかけ、綿の実の栽培を勧める。乗り気になった直虎は瀬戸村の百姓・甚兵衛に相談するが、井伊領内は深刻な人手不足であり、木綿作りを担う人材がいないことがわかる。人手を探して村々をまわる直虎だったが、ある日水浴びをする若い男と運命的な出会いを果たす。
第十七回
「消された種子島」
中野直之は「種子島」を取り寄せ、直虎の前で実演してみせる。その威力に驚いた直虎はこの「種子島」を鍛冶の村・井平で生産しようと考える。その頃、龍潭寺で手習いを始めていた虎松は家臣の息子たちと五目並べに興じていた。周りの子供たちが気を遣って手加減しているのを知った直虎は激怒する。周りが手加減をしなくなり、負け続けの虎松はショックで寺に来なくなってしまう。
第十八回
「あるいは裏切りという名の鶴」
直虎が秘(ひそ)かに作らせていた「種子島」を奪った政次は、今川への謀反の疑いを直虎にかけ、虎松の後見を降りるようせまる。観念した直虎は後見を譲ることを約束し、政次とともに駿府へ向かうが、銭の匂いを嗅ぎつけた方久は駿府の今川館へ先回り。井伊が「種子島」を製造しようとしたのは謀反のためではなく今川に買ってもらうためだったと話し、氏真に「種子島」を売りつけることに成功。
第十九回
「罪と罰」
近隣の領主である近藤康用が直虎のもとを訪れ、領内の山の木々を井伊の者に盗まれたと訴え出る。直虎は疑いを晴らすため、盗伐のあった現場に向かう。荒らされた現場を検証していく直虎たちは、近藤領内だけでなく井伊領内の木々も盗まれてしまっていることに気づく。見張りをつけて山狩りをする直虎はついに犯人を捕らえる。しかしそれは以前、直虎に人集めの知恵を授けた旅の男だった。
第二十回
「第三の女」
亡き直親の娘と名乗って井伊谷にやってきた少女・高瀬。元いいなづけである直親の隠し子発覚にショックを隠し切れない直虎だが、井伊家の当主として、その真偽がわかるまで高瀬を屋敷で預かることを決める。噂を聞きつけた直親の元妻・しのは高瀬のもとに乗り込むが、その対応は意外なものだった。一方政次は、高瀬は武田が井伊に送り込んだスパイなのではないかと疑う。
第二十一回
「ぬしの名は」
井伊領内で生産した綿布の商い先として、浜名湖岸の町・気賀(きが)を選んだ直虎と方久。気賀の商人・中村与太夫との商談を終え市場に立ち寄った直虎は、店先に並ぶ異国の珍品に目を見張るが、その隙に銭入れを盗まれてしまう。その犯人を町はずれまで追いつめる直虎だったが、逆に捕らわれの身となってしまう。地下牢に閉じ込められた直虎のもとに現れたのは盗賊団のかしらとその一味だった。
第二十二回
「虎と龍」
直虎は材木の商いを始めるため、龍雲丸率いる一団を井伊谷に受け入れることを決める。家臣の直之は龍雲丸がかつて領内の木を盗んだり、直虎をさらったことを指摘し猛反対するが、直虎は井伊家の将来のために彼らの専門技術が必要だと主張する。しかし、直虎の期待は裏切られる。龍雲丸の手下であるモグラが博打場を開くなど、領民との間でトラブルが絶えなくなってしまったのだ。
第二十三回
「盗賊は二度仏を盗む」
龍雲丸たちとの宴(うたげ)の翌朝、直虎のもとに政次と近藤康用がやって来る。近藤の菩提寺から本尊が盗まれたというのだ。龍雲丸たちを犯人と疑う近藤は、直虎に身柄を引き渡すよう要求する。直虎はいったん了承したように見せかけて、直之に命じ、龍雲丸たちを逃がそうと画策する。一方、南渓はこの件について近藤と手打ちをするため、代わりの本尊を寄進しようと直虎に持ちかけるが…。
第二十四回
「さよならだけが人生か?」
直虎からの仕官の誘いを断った龍雲丸。一方駿府では、今川氏真が同盟を破った武田家への報復として「塩留(しおどめ)」を行うとともに、国衆の離反を防ぐための策として縁談を積極的におしすすめていた。直虎のもとにも、新野家の三女・桜を今川家重臣の庵原家へ嫁がせよという命が下り、それを案じた直虎は、南渓と嫁ぎ先を訪ねる。一方、岡崎では緊張の面持ちの松平家康が織田信長と面会していた。
第二十五回
「材木を抱いて飛べ」
井伊の材木をまとめて買い取りたいという商人が見つかり、張り切る直虎と方久。一方、井伊を去った龍雲丸たち一味は気賀に戻り「龍雲党」を旗揚げする。駿府では今川氏真が同盟を破った武田への対抗策として「塩留(しおどめ)」を行い、武田家と通じる商人の取り締まりを強化していた。そんな中、井伊家の材木の商い先である「成川屋」が三河の徳川に材木を流していることが発覚する。
第二十六回
「誰(た)がために城はある」
龍雲丸が井伊の材木を取り返したことで、直虎の謀反の疑いは晴れる。しかしその材木は数日後、今川の手によって気賀に運びこまれることになる。今川氏真は商人の自治が許されてきた気賀に城を築き、家臣の大沢基胤に治めさせようとしているのだった。この動きに激怒した龍雲丸は、築城反対派とともにかく乱作戦に出る。混乱を鎮めるため、直虎は気賀に乗り込むが…。
第二十七回
「気賀を我が手に」
中村屋と気賀の町衆たちは井伊谷を訪れ、気賀の城には大沢氏ではなく、直虎に入って治めて欲しいと願い出る。瀬戸方久は井伊が気賀の港を押さえることでさらに商いの手を広げられると意気込み、まずは今川重臣の関口氏経を懐柔しようと動く。そんな折、今川氏真のもとに火急の知らせが飛び込む。武田・今川の同盟の要である武田義信が自害したというのだ。
第二十八回
「死の帳面」
気賀の城を預かることを認められた直虎は、家臣の方久に城代を任せる。危篤状態からの復活を遂げた寿桂尼は武田信玄のもとを訪れ、武田家に嫁いでいた氏真の妹・鈴を駿府に返すよう要求する。寿桂尼はさらに北条氏康を味方につけ、武田への圧力を強める。北条の仲立ちによって今川と武田の争いはいったん落ち着くが、寿桂尼と氏真の間には深い亀裂が生まれてしまう。
第二十九回
「女たちの挽歌」
直虎は徳川家康に書状を送り、上杉と同盟を組んで武田の今川攻めの動きを封じ込む策を進言する。いったんはこの策に乗ろうとした家康だったが、時を同じくして武田から今川攻めの誘いが来てしまう。その頃、駿府では寿桂尼が死の床についていた。松下常慶は井伊と徳川の同盟の証しとして、しのを人質に出すよう要求する。それを聞いた虎松は、取り消して欲しいと直虎に言い寄る。
第三十回
「潰されざる者」
武田との戦が避けられない情勢となった駿府では、今川氏真が国衆を呼びつけ戦の準備を命じていた。直虎も徳川との内通をひた隠しにしながらこの命令に応じる。その裏で氏真は方久が気賀に新しい蔵を作ることを認める代わりに、「徳政令」を出し井伊家を取り潰す手助けをするよう求める。徳川との戦に備え、要衝の地である井伊谷を今川の直轄領にしたいと考えたのだ。
第三十一回
「虎松の首」
直虎は今川氏真の命に従い、徳政令を受け入れることを決める。これは井伊家が取り潰しになることを意味していた。直虎と政次はいったん今川に従うふりをし、裏で徳川家康と手を組むことで井伊家復活を図るという策をとったのだ。井伊を裏切ったふりをする政次は今川の代官として井伊の館に残ることになるが、氏真は嫡男・虎松の首を差し出すよう要求してくる。